「檜原村 ふるさとの森」はもともと「雑司山(ぞうしやま)」と呼ばれていました。文字の通り、地域住民の雑木林として、薪や炭を出す薪炭林として、カヤト*として、畑として、利用されてきた山です。村の中では耳にしない単語ですが、「里山」という言葉に当てはまるのかもしれません。
その後、雑司山は大手セメント会社**に買い上げられ、採石場として利用されるようになりましたが、17年の採掘期間を経て閉山をむかえます。閉山後、山は村に寄付されたものの特に利用されることもなく34年が経ち、雑司山は人が入らない鬱蒼とした暗い山になってしまいました。
そして現在、雑司山は「檜原村ふるさとの森」という名前になり、再び人と共に季節を重ねる山林へと生まれ変わってきたところです。冬でも明るく温かいこの森に、一度ご一緒しませんか。
(*カヤト…ススキなどイネ科の植物が広範囲に生い茂る場所のこと。茅葺き屋根の茅の採集場にもなる。)
平成24年(2012)から、「NPO法人 フジの森 」が村の指定管理者として「ふるさとの森」の管理運営を担うようになり、檜原村の原風景であるゾウヤマ*を蘇らせるため整備を継続しています。藪に覆われ、真っ暗で不気味な空間になってしまっていた森には明るさが取り戻され、少しずつ多様な生物が行き交う豊かな森林になってきました。
現在では、この森の整備に携わったメンバーを中心に、一般参加者を募集するエコツアープログラムが開催されるほか、教育関係者と連携のもと現場から里山と生態系を学習する場所としても活用されています。
(*ゾウヤマ…利用されることで維持される落葉広葉樹林からなる雑木林のこと。)