
手入れ・間伐
■森林の手入れ
森林を手入れすることにより、森林が守られ、森林の持つ公益的な機能が発揮されます。私たちは森林から恩恵を受けることができるようになり、私たちの生活も守られるようになります。
植林…森林づくりの始めです。枝葉などをきれいに整理した山で春先に苗木を植えます。
下刈り…苗木の成長を助けるため、夏場に周りの雑草や灌木を刈り払います。植え付けてから7年くらいまで行います。
除伐…下刈りを終え2~3年後、スギやヒノキの成長を妨げる広葉樹の灌木を切ります。植え付け後8年目~15年目くらいでおこないます。
枝うち…節が少なく、上と下の幹の太さの差があまりない木をつくり、また林内を明るくして地面の植生の生育を助けるために枝を落とします。植え付け後10年くらいたって、スギ、ヒノキの下枝が徐々に枯れ始めてきた頃から行います。
間伐…木々が成長して混みあってくると木の成長が悪くなるため、30%くらいを目安に切り、一本一本をしっかりした木に育てます。植え付け後15年くらいから、5年毎に3回くらい実施します。今、現場で一番遅れており、必要とされている作業です。
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■まず間伐!
・間伐することで太陽光が適度に注ぎ、樹木の成長を促進し、残された木々は幹が太く枝葉がしっかりとした健全な木に育ちます。光合成が盛んに行われ、木々は二酸化炭素をたっぷり吸収し、温暖化防止にもつながります。
・根を土壌の中に広く、深く張ることができるようになります。しっかりとした根は樹木を固定し、土砂崩れなど災害等も起こりにくい森林となります。
・木の根元まで光が入り、地面の植生(下層植生)が繁茂します。すると、雨滴などの衝撃による土壌流出が防がれ土壌が豊かになるとともに、生物の種数が増え生物の多様性の保全につながります。
・土壌が豊かになるため、降った雨(降水)が森林の土壌へ浸透する量も多くなり、ゆっくりと川に流れるので洪水が抑制されます。また水が浸透していく過程で、水が浄化されるため、「おいしい水」になります。
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■保育間伐と利用間伐
保育間伐…人工林の中で材木として利用できるスギやヒノキを選び、適度な空間が確保されるよう、周囲の育成不良の木を切り捨てることを保育間伐といいます。保育間伐で伐り出されるのは、太さや形状が規格外のものなので、建築などには利用できませんが、有効に活用する試みが始まっています。
利用間伐…林齢が比較的高い森林で、材木として利用できる太さになったスギやヒノキを選んで間伐します。伐採した間伐材は、利用に適した長さに玉切りし、木材市場等に運び、そこで製材業者等に販売します。
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■これまでの成果
年度 |
間伐面積 |
林種 |
間伐参加者 |
素材生産 |
製材加工 |
2008年 |
0.5ha |
スギ・サワラ林 (檜原村笛吹) |
114人 |
30m3 |
25m3 |
2009年 |
0.5ha |
スギ林 (檜原村南郷) |
45人 |
30m3 |
18m3 |
2010年 |
0.5ha |
スギ林 (檜原村南郷) |
75人 |
32m3 |
0m3 |
2011年 |
0.8ha |
スギ林 (檜原村南郷) |
97人 |
27m3 |
6.4m3 |
2012年 |
0.5ha |
スギ林 (檜原村南郷) |
58人 |
18m3 |
7m3 |
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■よくある質問
Q1 なんでスギやヒノキの林が多いの?
A1 生長が早い、幹がまっすぐ、加工しやすいなどの理由で、古くから植えられ、他方面に利用されてきました。戦時中~戦後に材木が大量に利用され大面積伐採が行われた際、禿山に植える樹種として、利用価値の高いスギ・ヒノキが選ばれたのです。
Q2 木を切るのは環境破壊じゃないのですか?
Q2 日本は温暖多湿な気候に恵まれ、世界的にみても植物の生育に恵まれた環境です。何もせずに放っておいても、多種多様な植物が自然に育ち、競争しながら時間をかけて森林を形成していきます。一方、材木として利用するため人が植えて作った「人工林」(ほとんどが針葉樹)は、利用と手入れを前提としているので、木を切って使わなければ良好な状態が保てないのです。
Q3 薪を燃やすと空気中の二酸化炭素が増えるから、地球温暖化を加速する?
Q3 今、大気中の二酸化炭素が増えて地球温暖化が騒がれている主な原因は、化石燃料(石油や石炭、天然ガスなど)を燃やすことで、地中深くに閉じ込められていた炭素が大気中に放出されていることにあります。樹木は、二酸化炭素を吸収して幹や枝葉として固定し生長するので、薪を燃やして二酸化炭素が発生しても、再び樹木に利用され、森林の生長とバランスが保たれていれば二酸化炭素の増減はありません(カーボンニュートラル)。よって薪などの木質バイオマスは「再生可能エネルギー」として注目されています。さらに、化石燃料を利用する場合、その代金などは原油産油国に流れますが、身近な森林資源を燃料とすれば、地域経済にも貢献できます。
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■間伐プログラムの記録
初年度は、檜原村の笛吹(うずしき)地区において、「森林作業体験」として間伐を実施しました。
森づくり I
*開催日:2009年2月8日(日)
*講 師:NPO法人フジの森理事長 清水久巳 氏(東京都森林組合 専務理事)
*テーマ:「間伐材の利用とは」
貴重な木材資源を無駄にしないことを伝えるとともに森林作業体験を行いました。
*参加者:14名(申込み18名)
森づくり II
*開催日:2009年3月14日(土)
*講 師:久保田繁男 氏(NPO法人森づくりフォーラム)
*テーマ:「森づくりとは」
森づくり活動の入門として講話による森づくりの理解と間伐の大切さ、森林作業体験を行いました。
*参加者:30名(申込み30名)
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